♦DV、モラハラって何?
♦DVとモラハラってどう違う?
目に見えるDV(暴力)は、本人も自覚がしやすいですし、周りの人からも発見しやすい反面、目に見えない心に傷を与えるモラハラは、軽視されやすいように感じています。
モラハラの提唱者であるマリー=フランス・イルゴイエンヌは、
「精神的な暴力は肉体的な暴力と同じ程度に、場合によっては肉体的な暴力以 上に人を傷つけるもので犯罪である」
と、言っています。
心の傷は決して軽視されていいものではありません。
ご相談いただく中で、”殴られていなければDVではない”と認識している方、
言葉の暴力であるモラハラについて、”この程度のこと”と認識してしまっている方が多いように思います。
今回は、DVとモラハラについてお話していきます。
どちらも決して我慢しないでくださいね。
DVとは?
DVとは、ドメスティック・バイオレンス(domestic violence)の略です。
DVには明確な定義はありませんが、「配偶者や恋人などから振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです。
実際には、暴力だけではなく、大きくわけて5つのDVに分類されます。
- 肉体的DV
- 精神的DV
- 経済的DV
- 社会的DV
- 性的DV

DVと聞くと、肉体的DVを想像する人が多いと思いますが、経済的な自由を与えてもらえない、パートナー以外との人間関係を制限される、性行為を強要されるなどもDVなんです。
誰が見てもはっきりわかりやすい肉体的DVに比べ、他のDVは、個人の捉え方の違いによって左右されやすく、それを逆手に取られて、被害者は我慢を押し付けられるケースが多いです。
我慢し続けなくていいんだということを知っていただくためにも、それぞれのDVがどのようなものかをまずは知ってください。
「されて当然のこと」「我慢して耐えること」では、ないですよ。
5つのDVと具体例
DVは大きく分けて5つに分類されます。
どれか1つをされている場合もあれば、複合してDVをされている場合もあります。
肉体的DV
殴る、蹴る、首を絞める、髪を引っ張る、物を投げるなど、肉体に直接ふるわれる暴力のことを肉体的DVといいます。
DVとして、もっとも認識されているものでもあります。
監禁する、もしくは家から追い出すなどもこれにあたります。
精神的DV
暴言、無視、人格否定、長時間の説教など、精神的な嫌がらせのこと。モラハラ。
モラハラは精神的DVです。
具体例を知っていただくことで、まずはモラハラを受けているのかも知れないと気づいて欲しいなと思います。気づくことが大きな一歩です。
「結婚〇十年たって、今やっと気が付きました。」と、ご相談に来るお客様も居ます。
それほど、当事者同士の関係の中では気が付きにくいのです。「〇十年ずっと我慢は感じていた」とお話されます。どんな些細なことでも構いません、我慢している、苦しいと感じているなら、一度ご相談ください。
怖いから我慢してしまう。
モラハラ被害に合っている人の中には、相手が怖いから、言うことを聞いて大人しくしておくしかないと我慢している人もいます。

一度恐怖心を植え付けられてしまうと、実際に相手が怖いかどうか客観的な判断が出来ず、怖いという印象が先行してどんどん怖くなっていきます。
夫婦、恋人間の関係性の中で、”怖い”という感情が出てくる時点で、おかしいのです。
おかしいと気が付いてくださいね。
経済的DV
家に生活費を入れない、加害者側が管理してお金を渡さない、働きにいかせないなど、経済的な圧力のこと。
勝手に借金を作ってきたり、被害者に借金を背負わせるようなこともあります。
仕事にも行かせないなど、経済的な自立をさせないようにすることで、被害者を支配することが出来ます。一方で、お金を家に入れない、働かないなど、真逆のタイプも居ます。
後者のタイプの場合は、被害者側に経済力があるので、離婚してしまった方が、生活が楽になるケースが多いのですが、こういったタイプに限って、離婚には絶対に同意してくれないなど、離婚に苦労しているというご相談をいただいています。
離婚に合意してもらえないのなら、まずは別居という選択肢もあります。
視野を広く持って、選択肢を増やしていきましょう。
白か黒かではなく、グレーゾーンの中で出来そうなことからはじめるのです。
社会的DV
友人関係や実家などとの交流を過度に制限する。働きにいくことや、同窓会などへの参加も禁止し、社会的に孤立させること。
電話やメールの履歴を細かくチェックするなどの、束縛行動がともなうこともあります。
当事者同士だけの関係性の中では、異常であることに気が付きにくいのです。
出来るだけ、周りとの交友関係は絶たないよう、居場所を沢山持つようにおすすめしています。

モラハラ加害者に要求されると断れず、周りとの交友関係を絶ってしまう人もいらっしゃいますが、出来れば交友関係は持ち続けて欲しいと思います。
そのような理不尽な要求を受け入れなければならない理由はないのです。あなたの交友関係はあなたが決めることです。
当然ですが、交友関係がなくなり、モラハラ加害者との世界に閉じこもってしまうと洗脳されやすくなっていきます。
他に相談する人が居なくなることで、視野が狭くなり、選択肢がなくなっていきます。
今、交友関係がない人は交友関係をつくっていきましょう。
性的DV
性行為を強要し、断ると、肉体的暴力や暴言や長時間の説教などの精神的暴力が与えられる。
性行為を断ると、「浮気や風俗に言っても仕方ないよね。」と言ってくる加害者も居るようですが、これも立派な脅しであり、支配です。怒鳴ることだけが、脅しではないですからね。

性行為を断ることに罪悪感を感じてしまい、断れないと言う人もいますが、断ることは悪いことではありません。
性的DVとセックスレス
男女のコミュニケーションや愛情表現として、大事なことでもあります。
性行為は強要されるものではありませんが、ずっと断り続けている(レス)の状態にあるならば、一方には不満がたまってくるものです。
強要されていいものではありませんが、合意のない一方的なセックスレスは、長期的にはどちらかの我慢が積み重なって夫婦関係に亀裂が入る原因にもなりかねません。
モラハラとは?
モラハラとは、モラルハラスメントの略で、言葉や態度によって行われる精神的暴力のことです。
DVの中の精神的暴力という部分につけられた名称です。
外傷などが残らず、周りも気づきにくいだけでなく、モラハラを受けている本人ですら、自覚を持てないこともあります。
モラハラと言っても、その範囲は広く、程度も様々です。
モラハラの提唱者であるマリー=フランス・イルゴイエンヌは、DVの中でもわかりにくい精神的DVをモラハラと定義しました。
その中で、「精神的な暴力は肉体的な暴力と同じ程度に、場合によっては肉体的な暴力以 上に人を傷つけるもので犯罪である」と述べています。
精神的DVなのか、モラハラなのか。
どちらも、相手の精神を傷つけているのですから、同じなのです。
大事なのは言葉の定義ではなく、あなたが辛い思いをしているという事実です。
DVかモラハラか、言葉の定義よりも大事なこと
DVかモラハラか、また、DVの中でも肉体的DVなのか、性的DVなのか、、、など
大事なのは言葉の定義や、分類や診断をすることではなく、されて当たり前のことではないし、不当な扱いをされていることに気づいていくということです。
DVやモラハラの定義に当てはまらなかったとしても、心の苦しさや生きづらさ、辛さなどを抱えているのなら、それを当たり前のこととしないで欲しいのです。
また、DVやモラハラの被害は、とても特殊な状況であり、当事者でないとその辛さがわからない部分があります。
場合によっては、勇気を出して相談しても
- 気にしすぎなんじゃないか
- その程度のこと、どこにであるあることだ
- 我慢が足りない
などと、被害者側が責められてしまうようなこともあります。
とにかく、あなたの心の声を一番に聞いてください。
これこそが、DVやモラハラの本当の怖さであると私は感じています。自分が悪いと責めていると、誰かに相談をすること、助けを求めることに思考がいきません。DVやモラハラを受けているということに気がつけず、仕方のないこととして、我慢してしまうのです。
少しでも違和感を感じたらご相談ください。
DVやモラハラをされていると感じたら?
DVやモラハラが日常的に繰り返されている場合、被害者は洗脳され、DVやモラハラをされることが当たり前だと思い込んでいる場合があります。
なかには、私が悪いから相手がこんなことするんです。とご自分だけを責めてしまっている方もいらっしゃいます。
DVやモラハラはされて当たり前のこと、当然のことではありません。
少しでも、当てはまることがあれば、まずは一度ご相談ください。我慢していいものではないのです。
ご相談者様のほとんどが、「そんなにひどい状況ではないかも知れませんが、、、」と控えめにご連絡をくださいますが、その時点で、DVやモラハラがかなり侵攻しているなと感じることの方がほとんどです。
これまで、とても辛い思いをされてきたんだろうなと胸が痛くなります。
ですが、それでも「私が悪い」と思い込んでしまうほど、洗脳されていて、心が疲れているのです。

相談することに悩まないでくださいね。
些細な悩み事なんてものはありません。どんな悩みもご相談者様の今後を左右する重要なものだと思っています。
DVやモラハラ被害者が自分を取り戻すためにやってほしいこと
DVやモラハラ被害に合っていると、自己肯定感や自尊感情がいちじるしく下がります。
また、相手の顔色を伺うことが身体に染みついてしまい、相手が求めることを判断基準にしてしまうので、自分の気持ちと言うものがわからなくなっていきます。
この状況では、正常な判断が出来ないですし、別れたい、離婚したいと思っていてもその気力がわいてきません。
自分がどうしたいのかもわからず、自分の考えや判断にも自信が持てません。
まずは、少しずつでいいので、自分を取り戻すことからです。
自分の気持ち、心の声を聞けるようになっていきましょう。
DVやモラハラ、弁護士への相談の仕方は間違えないで
弁護士は、時には強い味方となってくれます。
しかしそれは、あくまでも法律的な判断をするうえでの話です。
モラハラ被害者さんの多くは、法律的にどうかと言う以前に、
加害されているのにそれを受け入れてしまう自尊感情や自己肯定感の低さ、
離れたいのに離れられないと思ってしまう恐怖心など、
自身の心の問題と向き合う課題をお持ちです。
自分の意思を持てなくなって、
「どうしたらいいのかわからない。」
「どうしたいのかがわからない。」
という状態になっている方も少なくありません。
この状態で相談に行くべきは、弁護士ではないのです。
- 心に寄り添って欲しい。
- 抜け出せる自分になりたい。
- 勇気が欲しい。
こういった方は、まずはカウンセリングなどお気持ちの相談が出来る場所を探してみてくださいね。