一緒に居るのが辛い、別れた方がいいのではないかと感じながらも、
いざとなると、後ろ髪をひかれてしまうという人も少なくないのではないでしょうか。
酷い相手でも、時に優しい一面も持ち合わせます。
- 酷いところばかり
- 何も良いところがない
- いい思い出が一つもない
この方が、どれだけ心が楽でしょう。
心置きなく恨むことが出来ますし、別れを決断することもできるはずです。
時に優しいと思えるような一面があることが、相手との別れを選ぶことを難しくします。
優しいところもある人だから、こんなに酷いことをされるのは、私に原因があるのかもしれないと、間違った認識をして、相手の酷い一面を仕方のないものを受け入れてしまう原因にもなります。
「どうしてそんな酷い相手と別れないの?」
そう言われるような相手なのに、どうしても別れられないののは、共依存に陥っている可能性があります。
今回は、別れたくても別れられない共依存についてお話していきます。
別れたいのに別れられない共依存とは?
”共依存”とは、特定の相手との関係に依存しすぎる状態のことを言います。
男女関係(恋人、夫婦)が多いですが、親子関係、友人関係などでも現れます。
相手との関係ありきで、自分の価値を見出すため、自分自身を見失ってしまったり、相手が居ないと生きていけないと思い込んでしまうなど、相手を失うことに過度の恐怖心をいだきます。
お互いの関係が、不健全なものになっている場合、多かれ少なかれ、この共依存が関係している可能性があります。
そして、夫婦恋人関係だけでなく、親子間の共依存も”生きづらさ”の原因を生み出しています。
幼少期に親に依存される形で支配された環境で過ごしてきた人にとっては、依存関係が当たり前になってしまっている可能性があります。
こういった人は、普通の関係性、お互いに自立しあった健全な関係性がどういったものなのか、経験から学ぶ機会のなかった人です。当然、依存関係でしか人間関係の構築が出来なくなってしまいます。「他の方法を知らない。」という表現がしっくりくるかも知れません。
本人が悪いわけではないのですが、うまくいかない人間関係を繰り返しているのなら、ここに原因があります。健全な人間関係の構築を学びなおさなくてはいけません。
わかりにくいケースの共依存
一時的に別れることが出来るのですが、何度も復縁を繰り返すケースがあります。
別れることが出来るので、共依存であることに本人も周りも気づきにくいのですが、何度も復縁を繰り返すのは、本当の意味では離れられないということです。
復縁の全てが悪いわけではないですが、何となくやり直してしまい、同じようなことで喧嘩などを繰り返し、同じようなことでうまくいかなくなるという、反省も改善もなく、何となく別れて復縁してというのを繰り返している場合は、健全な状態ではありません。
モラハラ加害者とモラハラ被害者の共依存
モラハラ加害者とモラハラ被害者は、共依存状態に陥りやすい関係性にあります。
というのも、モラハラ被害者は、モラハラ加害者に日々のモラハラの中で
- お前はダメなやつだ
- 俺が居ないと何もできない
という価値観をうえつけられているからです。
「ダメなやつ」「何もできない」こういった否定の植え付けにより、モラハラ被害者の自尊心はどんどん低下していきます。
自尊心が低下していくと、自分に自信がなくなり、自分で決断するということができなくなります。
自分で決断して生きていくことができないので、誰かに依存しなければ生きていけません。そう思い込まされていくのです。
もともと、依存傾向のない人でも、モラハラ加害者と一緒に過ごすうちに、依存傾向が強くなりますし、もともと、依存傾向のある方は、さらに依存傾向が強くなっていきます。
つまりは、モラハラ加害者を作り出してしまう(もしくは引き寄せてしまう)のです。
なぜモラハラ被害者は依存してしまうのか
なぜ、モラハラ被害者は苦しい思いをしてまで、モラハラ加害者のモラハラに耐え、依存するまでになってしまうのでしょうか?
その理由は、被害者の抱える様々な心の問題にあります。
アダルトチルドレン(AC)の傾向による見捨てられ不安
モラハラ被害者の人は、アダルトチルドレン(AC)の傾向を持つ人が多いです。
- 自分に自信が持てない。
- いつも周りの顔色を伺ってしまう。
- 誰かに認められないと存在価値がないように思えてしまう。
- 主体的に行動出来ない。
このような特徴を持っているところへ、モラハラ加害者からさらに人格否定の言葉で追い打ちをかけられると、アダルトチルドレンの傾向がどんどん強くなっていきます。
自分に自信が持てないからこそ、他者に依存します。
主体的に行動出来ないからこそ、誰かに決めて欲しくなります。
依存している相手なしでは生きていけないと思い込んでいるので、見捨てられることを過度に怖がります。
見捨てられて独りぼっちになるくらいなら、傷つけられてでも一緒に居てくれる相手を選んでしまうのです。
家族や友人など周りの人に相談しても、「離れればいいだけなのに、なぜ離れないのか。」と、最終的に愛想をつかされ、話を聞いてもらえなくなってしまうことも多く、結果的に被害者は、「やっぱり私にはこの人しか居ない。」と加害者への依存心を強化してしまいます。
こういったケースの場合、周りに相談すること、助けを求めたことが結果的に裏目にでてしまうということになります。

間違った思い込みを強化してしまわないためにも、正しい場所へ相談するということが大事です。
友人やご家族が共依存なのではないかと感じるかたへ
時々このようなご相談はいただきます。
上記の内容とかかわってきますが、正論で説得することが返って加害者と被害者の依存関係を強める結果になることがあります。
説得しようとすればするほど、被害者が心を閉ざしてしまうケースです。
周りから見ると、明らかに異常な状態であったとしても、本人からするとそうは思えないのです。
正常な思考状態ではないからこそ、正論での説得が通用しない場合があります。
共依存症者の5つの特徴とチェックリスト
共依存症者が引き寄せられるのは、モラハラやDVなど、なぜかひどい相手であることが多いです。
もちろん、最初からひどい相手だとわかっているのではなく、最初は、まるで白馬の王子様が現れたような感覚だった人も多いと思います。
ですが、共依存症者が恋をするのは、ひどい相手なので、次第に辛くなり、離れたいけど、離れられずに苦しんでしまいます。
ひどい相手にばかり惹かれてしまい、苦しい恋愛をしてしまうのは、認知の歪みからきているケースもあります。
心の根っこで「私は幸せになってはいけない」「こんな私に釣り合う相手は、酷い相手で当然だ。」「私はダメな人間だ」こういった、間違った思い込みを抱えている場合もあります。
無意識での思い込みを、一人で見つけていくのは、難しいことです。
しかし、この無意識の思い込みを書き換えていかなければ、同じような苦しみの現実を繰り返し続けてしまうのです。
共依存症者の特徴①「必要とされることを必要とする」
☑電話、メールがこないと、極端に落ち込んでしまう
☑自分が相手を好きかよりも、相手が自分を好きかに価値をおいている
☑「好き」「愛してる」などのセリフに弱い
☑いつか相手に必要とされなくなるのではないかという不安を抱えている
☑頼みごとをされると嬉しい
☑孤独に弱い
共依存症者の特徴②「救済者になりたがる」
☑つい「こうした方がいい」とアドバイスしたがる
☑相手が悩んでいるのを見ると内心嬉しい
☑世話を焼いている時が一番充実感を感じる
☑「この人を助けてあげられるのは自分しかいない」と思うことがある
共依存症者の特徴③「相手を放っておけない」
☑悩んでいる人を見ると放っておけない
☑相手の問題を自分の問題としてとらえてしまう
☑「あの人は私が居なくなってはダメになってしまう」と考える
☑相手のことが気になって仕方ない
共依存症者の特徴④「自分を後回しにする」
☑相手の些細な言動や行動を気にしすぎる
☑相手の機嫌が悪そうだと「私のせいだ」と思ってしまう
☑楽しいことをしていると、罪悪感がわく時がある
☑「自分さえ我慢していればいい」と思ってしまう
☑人前で自分の本音を隠してしまう
共依存症者の特徴⑤「現実を見つめられない」
☑周りから別れた方が良いと言われても別れられない
☑相手の問題に気づいても、大したことないとしてしまう
☑辛さや苦しみを好きだから仕方ないとしてしまう
☑本当の彼(夫)を理解してあげられるのは私しかいないと思ってしまう
☑根拠なく、今は辛いけど、きっといつかよくなると期待している
共依存を克服していくためには
一度共依存状態に陥ってしまうと、自分一人の力では、抜け出せません。
こんなの嫌だと思いつつも、相手からの報復や、相手に見捨てられることが怖くて動けなくなってしまいます。
また、あなたが勇気を出して、モラハラ加害者から離れようとしたとしても、モラハラ加害者の方も、被害者に依存していますから、当然あなたが居なくなっては困るので、易々と離してはくれません。
怒鳴ったり、威圧したり、脅して引き留めようとしてくる場合もあれば、
急に優しくなって、反省したそぶりを見せて、同情を引こうとする場合もあります。
この相手の態度の急変ぶりに、被害者はさらに振り回されます。
急に優しくされると、本当に変わってくれたんじゃないかと信じてしまいたくなる自分がいるはずです。
本当に反省してくれているのだとしたら、それを許さない、受け入れない自分が酷い人なのではないだろうかと、罪悪感にも襲われるでしょう。
共依存は、お互いに今の関係性が心地よい状態なのです。
お互いの関係性がなくなってしまうことに強い恐怖を感じます。
ですから、どうしても「このままで居た方がいい」という思考に引っ張られてしまうのです。
もしも、少しでも心当たりがあるのなら、共依存状態であると思ってください。
共依存状態にある方は、自分が共依存状態であるということすら、気づけないほど洗脳されている可能性が高いです。
ですから、この共依存の問題に関してだけは、強くお伝えしたいのです。
目の前のモラハラ加害者と、別れるか、別れないか。離婚すべきか、修復可能か。
いずれにしても、共依存は克服していく必要があります。

別れた方がいいのか、修復した方がいいのか、自分でもわからないという場合は、共依存を克服することで自然と答えが出てきます。
共依存の克服3つのポイント
共依存を克服していくために、大事なポイントは以下の3つです。
- ゆっくり時間をかける
- 結果を焦らない
- 一人で出来ることを増やしていく
1.ゆっくり時間をかける
これまでどのくらいの時間、依存的な行動をしてきたでしょうか?それだけの時間をかけて作り上げてきたものを変えていこうと思うのですから、時間がかかるかも知れないという気持ちを持って欲しいのです。
少なくとも、1年から1年半くらいでゆっくり進んでいく気持ちを持ってください。
急激な変化には、大きな不安がともないます。不安感に負けて元に戻りたいという気持ちが働いてしまいます。
ゆっくり、ゆっくり進んでいきましょう。
2.結果を焦らない
ゆっくり時間をかけることにも繋がりますが、依存している相手から心理的に離れていこうと思う時、寂しさや不安を感じることがあります。
寂しさや不安を感じたくなくて、結果(寂しさや不安を感じなくなること)を早く求めてしまう方がいらっしゃいますが、寂しさや不安に寄り添いながら進んでいくことが大事です。
結果が気が付いたら手に入っていたくらいがちょうどいいですよ。
3.一人で出来ることを増やしていく
依存体質の方は、一人で過ごすことが苦手な人が多いですね。一人で過ごせるようになりましょう。また、これまで支配的な人と一緒に居た人は、自分で決めるということがとても苦手です。一人で過ごす時間が長くなると、必然的に、一人で決めなければならないことが増えていきます。
自立への一歩です。

一人で安定した状態が作れて初めて、安定したパートナーと出会うことが出来ます。そうなって初めて、健全な恋愛が出来るようになりますよ。